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「……なにをしているの?」
背後から聞こえた硬質な女性の声色に、ふたりは慌てて振り返った。
出先から戻ったばかりなのか、カバンとグレイのテーラードジャケットを持った茨木琴音が、怪訝そうな顔つきでこちらを見ていた。
「お疲れさまです、茨木さん!」
三井が立ち上がって挨拶するので、旺佑もその後に続いて立ち上がり「お疲れさまです」と頭を下げた。
新入社員が先輩の企画書に難癖をつけている場面を見られた気まずさと、先ほどの“いばら姫”の件を思い起こし、なんとも言い難い微妙な空気になる。
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