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──保志くんには、好きなひとがいるんだった。
琴音は、ブラウスの襟をギュッと握る。
なんだろう、胸が痛い。
「旺佑が言ってた先輩って、このひと?」
すごい美人だな、と感心したように腕組みする女性がひとり。セクシーなハスキーボイスが魅力的な彼女は、細身のパンツスタイルがよく似合っていた。少し長めの髪の毛は、無造作にひとつに結んでおり、それがかえって色気を醸し出している。
「……ミユキは黙って」
ジト目でにらめば「さっき助けてあげたのに、ちょっと冷たくない?」と、彼女は肩をすくめた。
どうやら、先刻の「おまわりさ〜ん」は彼女の演技だったらしい。古典的な手段だが、効果は抜群なようだ。
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