眠る姫君に、くちづける王子。

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思わず声が出た。(いぶか)しむような眼差(まなざ)しをふたりから同時に向けられた琴音は、どぎまぎして言葉に一瞬窮した。 「……その、もう夜も遅いし、ひとりで帰るのは危ないと思うわ」 「「危ないィ!?」」 ()頓狂(とんきょう)な声があがる。 「まあ、このご時世、色んな変わったヤツがいるから、襲われる可能性はゼロではない……」 ミユキは、神妙(しんみょう)面持(おもも)ちで答えつつも、語尾が笑いで震えている。 「……ヤバい。ジワる」 「コイツ、空手の有段者なんで気にしないでください」 スパッと切り捨てるように言って、保志(ほし)琴音(ことね)の方を向きやる。なぜだろう、少し怒っているようだ。 「そんなことより、なんで森埜(もりの)常務や鬼原(きはら)主任に送ってもらわなかったんですか?」
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