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「あなたのことが、好きなんです」
真面目過ぎて不器用なところも。一生懸命になると周りが見えなくなるところも。うまく弱音が吐けないところも。
──全部ひっくるめて、あなたが好きです。
堰を切ったように、“好き”があふれた。もっとカッコつけたいのに、むき出しで飾り気のまったくない言葉を羅列するだけだった。
中学生でさえ、もう少しマシな告白をするのではないだろうか。よくよく考えてみれば、これが旺佑の人生初の告白だったのだ。
旺佑は俯いて、ただただ琴音の返答を待つ。全神経が痛いほどの感度で、彼女の反応を待っていた。
腕の中に彼女を閉じ込めてはいるが、その手は情けないぐらい震えていた。沈黙はもはや恐怖で、断罪される罪人のような気分だった。
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