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──好きです、琴音さん。
それは、まっすぐな言葉だった。遮るものはなにもなく、琴音の心に刺さる。
「ごめん、なさい……」
あまりの驚きにそれ以上の言葉が出てこない。いろんな感情が渦巻いて、頭の中がごちゃごちゃになっていた。
真面目過ぎて不器用なところも、一生懸命になると周りが見えなくなるところも、うまく弱音が吐けないところも、全部ひっくるめて、あなたが好きです。
彼の告白を反芻し、喉の奥がキュッとなった。鼻の奥がツンとして視界が揺らぐ。
私のダメなところも好きだと言うのだ、彼は。
突然の告白は、琴音の胸の奥にある、やわらかな部分をギュッと握りしめた。
水の中にいるように光が揺れる。琴音はこみ上げてくる想いを誤魔化すように、旺佑の胸に額をつけて、ゆっくりと口を開いた。
「……保志くん、確認したいことがあります」
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