くちづける王子と、恋に落ちた。

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********** ──好きです、琴音(ことね)さん。 それは、まっすぐな言葉だった。(さえぎ)るものはなにもなく、琴音の心に刺さる。 「ごめん、なさい……」 あまりの驚きにそれ以上の言葉が出てこない。いろんな感情が渦巻いて、頭の中がごちゃごちゃになっていた。 真面目過ぎて不器用なところも、一生懸命になると周りが見えなくなるところも、うまく弱音が吐けないところも、全部ひっくるめて、あなたが好きです。 彼の告白を反芻(はんすう)し、喉の奥がキュッとなった。鼻の奥がツンとして視界が揺らぐ。 私のダメなところも好きだと言うのだ、彼は。 突然の告白は、琴音の胸の奥にある、やわらかな部分をギュッと握りしめた。 水の中にいるように光が揺れる。琴音はこみ上げてくる想いを誤魔化すように、旺佑(おうすけ)の胸に(ひたい)をつけて、ゆっくりと口を開いた。 「……保志(ほし)くん、確認したいことがあります」
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