くちづける王子と、恋に落ちた。

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琴音(ことね)は、(うつむ)いたまま微動だにしない旺佑(おうすけ)の前に腰を下ろし、顔をのぞきこむ。 「……わたしも、すき、よ」 気恥ずかしさが込みあげてきて、うまく言葉にできない。ささやくように告げれば、旺佑が(はじ)かれたように顔を上げた。 アーモンド型の瞳が当惑に揺れている。 「それは……恋愛感情の“好き”ですよね?」 「……ええ」 「男として、“好き”ってことですよね?」 そうよ、と答えた琴音を、旺佑は力いっぱい抱きしめた。 「ほ、保志(ほし)くん、ちょっと待って」 慌てる琴音に、「待てませんッ!!」と旺佑は勢いよく答え、キスをする。 それは、噛みつくようなくちづけだった。
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