くちづける王子と、恋に落ちた。

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「そういう素直な気持ちを出していけばいいのよ」 その方が保志(ほし)くんも喜ぶわよ、と言って、恵梨香(えりか)は二杯目のグラスを(から)にした。 もっとも、「腹筋を触りたい」なんて言った日には、保志くんに“襲われる”覚悟をした方がいいとは思ったが、あまり警戒させてはいけないので黙っておくことにする。 「進捗(しんちょく)は、随時(ずいじ)報告するように」 と片目をつむる恵梨香に、琴音(ことね)は「承知しました」と答えた。そして、ふたりは顔を見合わせて笑い合う。 「あーあ。今日みたいに、もっと気軽に琴音とゴハン行ければいいのに」 名残(なごり)()しそうに空のグラスを爪で(はじ)いて、恵梨香がポツリとつぶやいた。
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