くちづける王子と、恋に落ちた。

26/41
前へ
/579ページ
次へ
想像するだけで気落ちする。改めて、保志(ほし)くんの近くでいたいという自分の気持ちを実感した。 「無防備なアンタを放置できるほど、保志くんもヨユーないでしょうね」と言って恵梨香(えりか)が笑う。 そうだといいな、という気持ちはワガママだろうか。ほんの少しだけでも、保志くんの前では素直になりたいと琴音(ことね)は思った。 ──主任の隣って、なんていうか“保志くんの指定席”って感じですよね。 宮田に言われた言葉を、なぜか突然思い出した。ザワザワとした感触が不意に胸にこみ上げる。 隣にいることが当たり前ではないことに気づかされたのは、少し時間が経ってからのことだった。
/579ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4890人が本棚に入れています
本棚に追加