くちづける王子と、恋に落ちた。

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これ、私が確認する必要があるのかしら……。 要点もしっかりまとまっており、資料としても大変わかりやすい。 「とてもよくできていると思うわ」と確認し終えた資料を渡せば、嬉々とした表情でそれを受け取る保志(ほし)なのだが……。 ──距離が近すぎる。 ふわりと香る柑橘系の匂いに胸が高鳴った。 これまで自分は彼とどのように接していたのだろうか、と琴音(ことね)は目をそらす。 好きだと気づいてしまったら、途端(とたん)平衡(へいこう)感覚を見失ってしまったようだ。気づけば、彼に(かたむ)いている。 「あー、でも……」 そんな琴音の動揺など知るよしもなく、肩が触れるほどの距離で保志が資料をめくる。 「この部分をもう少しブラッシュアップしたいんですけど」
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