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そんな調子で、年度末を乗り越えて新年度を迎えた琴音だが、5月の半ばを過ぎた頃、課長の四宮になんの前置きもなく会議室に呼び出された。
「なにか、やらかしてしまったのだろうか……」と琴音は首を傾げながら、会議室の扉を叩く。
上期の売上目標は早々にクリアしたので、詰められることは、きっとないはずだ。
「失礼します」
そろりとドアを開いて中に入れば、四宮課長が入り口のすぐそばに立っていた。「すまないな。急に呼び出して」と言いながら、彼は琴音に腰掛けるよう促す。
広い室内の中心には、二十名ぐらいの人数でも余裕で座れる円卓がひとつあり、どこに座ればいいのか、琴音は一瞬ためらった。とりあえず、入り口に一番近いイスに腰を下ろす。
ビルの十二階に位置するこの部屋の窓からは、夏の気配を感じさせる澄みきった青空が見えた。
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