くちづける王子と、恋に落ちた。

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「別に付き合うことを反対しているわけじゃない。部下の恋愛事情に口出しする権利なんてものは、オレにはないよ」 そんな不安ですって表情でコッチを見るな、と四宮(しのみや)が肩をすくめた。営業部に配属されて間もない頃の琴音(ことね)を思い出して吹き出しそうになっていたことなど、当の本人は知る(よし)もない。 「個人的には旺佑(おうすけ)の片思いが成就したことを喜ばしく思っている」 生まれたときから面倒を見ていたためか、四宮にとって、保志(ほし)は“弟”というより“息子”のような感覚らしい。 いつもの鋭い眼差(まなざ)しも、このときばかりは優しい光を浮かべていた。 「旺佑のこと、よろしく頼むよ」と微笑んだ四宮だが、ふと気づいたように眉根を寄せた。
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