くちづける王子と、恋に落ちた。

37/41

4878人が本棚に入れています
本棚に追加
/579ページ
「他人と言うには、保志(ほし)くんの顔は社長にそっくりですから」 「…………」 予想外の琴音(ことね)の回答に、四宮(しのみや)は目を丸くして絶句している。その表情がどことなく保志に似ていたので、うっかり「かわいいですね」なんて失言をしてしまうところだった。 『え? 琴音さん、うちの家族のこと知ってたんですか?』 それは交際をスタートさせてから二時間後のこと。宿泊先の大阪のホテルの一室で、江田(えだ)女史に紹介された企業の事前リサーチを行なっていたときだった。 保志は別のビジネスホテルに連泊していたことから、琴音をロビーまで送るなり、泣く泣くその場を後にした。 余談ではあるが、保志は「部屋の前まで送りたい」と申し出たが、琴音が宿泊するフロアが女性専用だったため、その願いは叶えられることはなかったのだった。
/579ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4878人が本棚に入れています
本棚に追加