4894人が本棚に入れています
本棚に追加
「他人と言うには、保志くんの顔は社長にそっくりですから」
「…………」
予想外の琴音の回答に、四宮は目を丸くして絶句している。その表情がどことなく保志に似ていたので、うっかり「かわいいですね」なんて失言をしてしまうところだった。
『え? 琴音さん、うちの家族のこと知ってたんですか?』
それは交際をスタートさせてから二時間後のこと。宿泊先の大阪のホテルの一室で、江田女史に紹介された企業の事前リサーチを行なっていたときだった。
保志は別のビジネスホテルに連泊していたことから、琴音をロビーまで送るなり、泣く泣くその場を後にした。
余談ではあるが、保志は「部屋の前まで送りたい」と申し出たが、琴音が宿泊するフロアが女性専用だったため、その願いは叶えられることはなかったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!