くちづける王子と、恋に落ちた。

40/41
前へ
/579ページ
次へ
やっぱり、従兄弟(いとこ)って、似てるところがあるのかな。 三十代半ばを過ぎた保志(ほし)を想像して、「きっとカッコいいんだろうな」と琴音(ことね)は思う。と同時に、そのときの自分がアラフォーだという事実に、なんだか少しだけ悲しくなった。ひとは等しく(とし)を取るのだけれど。 「あの……四宮(しのみや)課長、用件って保志くんの件ですか?」 呼び出された理由がわからない琴音がためらいがちに尋ねれば、四宮は「あー」と言いながら頭をかいた。ひどく言いづらそうな様子だ。 「保志に関してという点に違いはないんだが」 課長にしてはずいぶんと歯切れの悪い言い方だな、と琴音はぼんやりと思った。 わずかな沈黙の後、四宮は「まだオフレコなんだが……」と口を開いた。
/579ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4894人が本棚に入れています
本棚に追加