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……あーあ。
ため息を飲み込んで、琴音は「Ctrl+Z」で削除した部分を元に戻していく。カチカチとキーボードを叩くスピードは緩やかで、一定の速度を保ちながら室内に響いていた。
恋人として付き合うようになって1ヶ月──おそらく“蜜月”と呼んでも差し支えない時期であるはずだが、仕事を理由になにかとすれ違いが多い。
もちろん職場では顔を合わせるのだが、向こうは土日を挟んだ県外研修──行き先は、大阪──が増えており、付き合う前の方が一緒にいる時間が長かったような気がする。
なお、本日の旺佑は、都内にはいるものの、どこかの接待に駆り出されているようだ。
遅い時間になるけど、電話してみようかな。ううん、保志くんも疲れているだろうから、やめておこう。でも、少しだけでも声を聴きたい。
ぐるぐると出口の見えない自問自答を繰り返していると、すぐ隣で声がした。
「……やっぱり、いた」
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