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結び目をほどく長い指。筋張った手の奥には喉仏が見えた。自分にはない身体の特徴は、嫌でも“異性”を意識させる。
琴音は頭から湯気が出そうなほど赤面し、目をそらした。
──どうしよう……。保志くんがカッコいい……。
だれかに目撃されたならば社会人的に完全アウトな状況にも関わらず、琴音の胸はキュンキュンと音を立てる。
ところが、旺佑は、怖いぐらい真面目な表情で、琴音を組み敷いている。
「……少し大人しくしてもらっていいですか」
語尾に疑問符はない。決定事項のように彼は耳元でそう告げると、ほどいたネクタイで琴音の両手首を手早く縛った。
「!?!?!?」
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