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頭の上で両手をひとまとめにされた琴音は、その大きな瞳をさらに大きくして、口をパクパクと動かす。驚きすぎて声が出ないのだ。
半ばパニックに陥っている恋人を見下ろして、旺佑は困ったように首を傾げてみせた。
「ヤバいな……。オレ、Sっ気はないはずなんですけど、いまの琴音さんのカッコ、結構キますね」
アーモンド型の瞳の奥に宿る扇情的な光に、琴音はビクリと身体を固くする。そのくせ、酩酊したような甘い痺れが思考を奪っていくのだった。
「ほ、保志くん……なにするつもりなの?」
ダメだ。質問の仕方を間違えた。完全に主導権を相手に委ねてしまっている。
心身ともに追い込まれた状況に焦る琴音を眺めながら、旺佑はさも可笑しそうに喉を鳴らした。
「……なにをすると思います?」
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