4894人が本棚に入れています
本棚に追加
それは、舌なめずりの音が聞こえそうな目つきだった。
「ッ!?」
思わず顔をそむけた琴音だが、その刹那、首筋に“なにか”が触れた。
ビクリと身体を震わせて、ギュッと目を閉じる。ひどく身近な距離で、旺佑の呼気を感じて、琴音の心臓が早鐘を打った。
ど、どうしよう……!
己が置かれた状況を処理できず、琴音はただただ慌てふためく。そのくせ、どこか甘く痺れるような感覚が、頭のてっぺんから足の指先まで駆け抜けていったのだった。
「ねぇ、琴音さん」
甘えるような声で名を呼ばれる。恐る恐る目を開ければ、旺佑のまぶしさを感じるような笑顔に視線がぶつかった。
最初のコメントを投稿しよう!