【番外編】深夜残業、オフィスにふたり

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「うん。すごく似合ってます」 ──なにが? 頭の上に特大の疑問符を浮かべた琴音(ことね)は、半眼(はんがん)になって旺佑(おうすけ)を見つめた。 その怪訝(けげん)そうな表情に気づいた彼は、さらに嫣然(えんぜん)と微笑んでみせる。そして、おもむろに右手の人差し指を伸ばすと、首筋を下から上へとそっと撫でた。 「んっ……」 背中にゾワゾワとした感覚が走った。思わず漏れた甘い声が自分のものだと気づいて、琴音の顔が朱色に染まる。 その反応に、旺佑は一瞬驚いたようだったが、すぐさま、うれしそうに目を細めた。 「……感じちゃいました?」 「ッ!?」 否定しようとした(くちびる)を、旺佑のそれが(ふさ)ぐ。ところが、口づけは(まばた)きするほどわずかな時間だった。
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