【番外編】深夜残業、オフィスにふたり

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「あっ……」 こぼれ落ちた(こと)()は、どこか物足りなさを含んでいて、琴音(ことね)はますます顔を赤くした。 ときどき意地悪(いじわる)だけど、彼がくれるものは、とびきり甘い。それは心地よくて、もっと欲しいと願ってしまう。 あんなに恋をすることに(おび)えていた自分がウソのようだ、と琴音はそっと息を吐いた。 「琴音さん、もう動いて大丈夫ですよ」 そんな恋人の心情などお構いなく、旺佑(おうすけ)はスルリと両手首の拘束(こうそく)を解くと、ニッコリと笑んだ。 なにが大丈夫なのだろうか……? 突然の解放宣言に戸惑(とまど)いつつ、琴音は上体を起こす。 その瞬間、首元でなにかがキラリと光った。 「ん?」
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