【番外編】深夜残業、オフィスにふたり

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「オレ、知らなかったんですよ、琴音(ことね)さんの誕生日……」 旺佑(おうすけ)(うめ)き声に、琴音は「はぁ……」とひどく間の抜けた返事をする。 「でも、私、誕生日のことなんて、言ったことなかったでしょ……?」 むしろ、どうして知っているの? と言葉を、琴音はグッと飲み込んだ。旺佑の表情が、あまりにも悔しそうだったからだ。 「一生の不覚です。オレ、自分のこと殴りたい気持ちでいっぱいですよ」 「……別に、殴る必要はないと思うけど」 困ったように首を(かし)げる琴音に、「付き合って最初の誕生日ですよッ!?」と吠える旺佑。どうやら、彼は記念日を祝いたいタイプらしい。 ──だったら、普通にプレゼント渡して。
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