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「保志くん、どうしたの……?」
そんな難しい表情して、とコーヒーカップを両手に持ったまま、琴音は首を傾げた。無造作にまとめられた、緩やかなウェーブを打つ長い髪がサラリと流れる。
自宅にいるせいか、普段より無防備でなにかと隙が多い。旺佑的には、おいしくて仕方がないシチュエーションだが、目下の課題を解決することに舵を切る。
「……琴音さん、いつまで“保志くん”なんですか?」
ローテーブルにカップを置こうとした琴音は、その唐突なつぶやきにハッとした様子で旺佑を見た。神妙な面持ちでソファーの上に体育座りをしている恋人を。
「確かに……。そうよね……」
いつまでも“保志くん”なんて呼び方、変よね……!
そう言って、彼女は大きく頷く。
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