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「じゃあ、練習してみましょう」
「練習って……」
腕の中の琴音が、困ったように旺佑を見上げる。眉を下げた表情にもキュンとする。
いやいや、落ち着け、オレ。
プライベートな空間で好きなひとと、ふたりきり。ついつい、欲望に諸手を挙げそうになる己を律して、ひどく真面目なトーンで話し始める。
「商談の成功には、事前準備が必要不可欠でしょ?」
あ、いまの言い方、翔太っぽい。
ここにはいない従兄──直属の上司である課長の四宮を思い浮かべて、旺佑は思わず苦笑いを浮かべる。
琴音にとって、翔太は尊敬する上司だ。
「いまの言い方……」
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