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「はい、練習開始です」
会話をぶった切って、無理やり“練習”をスタートさせることにする。
恋人の自分といっしょにいるときに、仕事に関わることを思い出してほしくない。
なにせ、彼女のなかの旺佑の優先順位は、“仕事”と僅差なのだ。どちらが上なのか、考えたくもなかった。
「……」
当惑に揺れる瞳が、旺佑を見つめる。しかし、それは一瞬のこと。
「いきなり、そんなこと言われても、すぐには対応できません」
そう言って、ぷいと顔をそむける。照れ隠しなのだろうか、その子どもっぽい仕草に口元が緩んだ。
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