【番外編】ねえ、呼んで

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抗議しようとする腕を(つか)んで、くるりと身体の向きを変える。 ソファーを背に、旺佑(おうすけ)を見上げるようなかたちになった琴音(ことね)は、瞬時に頬を赤く染めた。 「ねえ、呼んで」 そう言いながら、旺佑は再びくちづける。 「ッ!?」 角度を変えながら、徐々(じょじょ)にキスの深度(しんど)を増していくのだ。 「……く、くちを、ふさがれたら、呼べないでしょ!」 グイッと旺佑の口を手のひらで(おお)って(あらが)う琴音。息を整えながら、ギロリと(にら)むのだが、その眼差(まなざ)しさえも甘く、心地よい。 ()き出しの警戒心が、かえって旺佑を(あお)ることになるなど、きっと彼女は理解できないだろう。
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