【番外編】ねえ、呼んで

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旺佑(おうすけ)は、口を(ふさ)ぐ手のひらをペロリと()めた。 「ひゃッ!?」 ()頓狂(とんきょう)な声をあげて、琴音(ことね)が飛び上がる。 「な、な、なにするのッ!?」 「味見、かなぁ」 含み笑いを浮かべる旺佑を、琴音は目を白黒させながら見つめた。長いまつ毛に(ふち)どられた大きな瞳には、はっきりとした困惑(こんわく)の色が浮かぶ。 「はやく呼んでくれないと、()みつきますよ?」 「ちょ、ちょっと待って……!」 ぎょっとして思わず悲鳴に似た声があがる。その様子に、旺佑はクックッと(のど)を鳴らした。 「ちなみに、“保志(ほし)くん”って呼んでも、噛みつきますから」
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