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「脅迫じゃないの、それッ!?」
琴音の絶叫が室内に響く。その叫び声に、「人聞きが悪いなぁ」と旺佑は胡散臭いほどニッコリと笑った。
「ちゃんと名前で呼んでくれたら、そんなことしませんよ?」
──うれしくて、ありとあらゆる場所にキスするかもしれませんが。
品行方正な笑みを浮かべて、その実、ひどく艶めいた台詞を口にする。
「そんなの、どう転んでも、保志くんが……あッ!?」
しまった、と慌てて口元を覆った琴音だったが、時すでに遅し。恐る恐る顔を上げれば、嫣然と笑うアーモンド型の瞳。
「……噛みつかれる方が、よかったんですね?」
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