4895人が本棚に入れています
本棚に追加
「そ、そうね…………」
あきらかに困惑している。八の字に眉を下げる琴音に、旺佑は腕を伸ばした。その口もとに浮かぶのは薄い笑み。
なにかを察知して反射的に逃れようとした琴音だが、背後にはベッドフレームがあるため、これ以上は後ろに下がれない。呆気なく腕の中に閉じ込められた彼女は、ますます困ったように旺佑を見上げた。
「あ、あの……」
「……琴音さん、オレ、前に言いましたよね?」
「?」
「“男とこんな場所でふたりきりなんて、迂闊すぎやしませんか?”って」
こんな場所って、家なんだけど! とつっこむ猶予など与えられず、琴音の唇に旺佑は己のそれを重ねる。
だが、それは一瞬のこと。
最初のコメントを投稿しよう!