【番外編】愛を込めて花束を

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********** 「旺佑(おうすけ)くんって、琴音(ことね)ちゃんと付き合わなくてもよくない?」 「は?」 火曜日の夜8時の少し前。しょうゆラーメンを目の前に、茨木(いばらき)千咲(ちさき)は、そう言い放った。 年季の入ったラーメン屋のカウンター席。割り箸を手に持ったまま、旺佑は隣り合う“恋人の弟”を怪訝(けげん)な顔で見る。なにを言わんとしているのか、わからない。 「それって、どういう意味?」 「そのままの意味」 彼は素っ気なくそう言うと、湯気を立てるスープを静かに(すす)った。 「……オレが相手じゃ不満ってこと?」 パキッと音と立てて割り箸を割る。キレイに割れず、片方の箸頭(はしがしら)だけが、いやに面積が広い。
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