【番外編】愛を込めて花束を

15/20

4877人が本棚に入れています
本棚に追加
/579ページ
「っていうか、旺佑(おうすけ)くん、モテるでしょ? わざわざ五歳も年上の会社の先輩と付き合う必要ある?」 琴音(ことね)ちゃん、確かに見た目はキレイだけど、なにかに夢中になったら、他のことは放りっぱなしだよ。んだから、次はもっと年上で包容力のあるひとを選ぶと思ってたのになー。 予想外だ、と千咲(ちさき)はこれみよがしに息を吐いた。 「……うるせーよ」 均等に割れなかった割り箸を眺めて、旺佑は渋面(じゅうめん)でつぶやいた。琴音の弟だから、と大人しく話を聞いていたが、なかなか痛いところを突いてくる。 ──もっと年上で包容力のあるひと。 旺佑自身が一番気にしていることを、この男はサラリと口にする。どんなにがんばっても五歳の差は埋められないし、彼女に対しての“オトナの余裕”なんてものは常に入荷未定の在庫切れだ。 この割り箸みたいに、の気持ちが大きいのだ。
/579ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4877人が本棚に入れています
本棚に追加