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「それは、どうも……」
ありがとう、と旺佑は半眼になってつぶやく。彼女の弟に認められたのはうれしいのだが……。
「ええっと、千咲……くん」
「ん?」
キョトンとした表情でこちらを見やる彼に、旺佑はひどく真面目な顔つきで尋ねた。
「周りが見えなくなるほど夢中になるのって、琴音さんのいいところだろ?」
なんでそれが欠点になるんだ? と困惑気味の旺佑。その反応に、千咲は堪らず吹き出した。
「ホントお似合いだよ、ふたりとも……!」
ひとしきり大笑いし、目尻の涙を拭う千咲。なぜ彼がそんなにも笑うのか、旺佑にはまったくわからい。
ただ、この場で理解できたのは、「さっさとオレのラーメンを食え!」という店主からの熱い視線だけだった。
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