いばら姫は、森の奥。［本編完結／番外編気ままに更新中］

【番外編】愛を込めて花束を

「旺佑(おうすけ)くん、千咲(ちさき)からなにか届いたわ」

その数日後、とんぼ返りで大阪に戻ったふたりの元に、件(くだん)の千咲から荷物が届いた。

「結婚のお祝いですって……」

花束を抱えてフワリと頬を緩める琴音(ことね)。淡い桃色のバラの花。中心部はアプリコット色だ。生花かと思ったが、どうやらプリザーブドフラワーらしい。

「キレイですね」

「ええ」

ふと、その花束の中にメッセージカードらしきものを見つける。なぜらしきものかというと、どう見てもそれは小さくたたまれたレポート用紙だったからだ。

「あの子らしいわ」

苦笑を浮かべて、琴音はそれを開く。「なんて書いてるんですか？」とのぞき込んだ旺佑だが、その次の瞬間、思わず言葉に詰まる。