【番外編】おとうさんも一緒(再び)

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********** 「こちらは茨木(いばらき)琴音(ことね)さん。って、紹介しなくても十分知ってると思うけど」 照れ隠しなのだろう。わざとぶっきらぼうに恋人を紹介する息子、旺佑(おうすけ)。営業部の先輩社員に対して、入社後すぐに片思いを(こじ)らせていたことを知らぬ者はいない。 片思いの相手、以外は。 もうひとりの息子の久弥(ゆきや)や甥っ子の四宮(しのみや)翔太(しょうた)とともに、旺佑の恋の行方を見守っていたことなど、きっと当人たちは知らないだろう。 「もちろん、よく知っている。女性営業の第一人者で、大阪営業所開設のキーパーソンだ」 「旺佑の教育係でもあったのよね。その節は大変お世話になりました」 「ちょ!? 母さんッ!? なに、この家庭訪問みたいな感じは!?」 そう言って、旺佑はジト目で両親(こちら)(にら)んだ。
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