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「あら、久弥出かけるの?」
アルバムを抱いて戻ってきた玲子が、不満げにため息を漏らす。「夕食、今日は外で食べてくるから」と伝えて、久弥はそそくさと二階の自室にゴルフバッグを置きに行ってしまった。
「翔ちゃんは、どうするの?」
「いや、オレも久弥と出かけるんで」
お構いなく、と久弥に続いて翔太も逃げるようにその場を後にする。
「もう、男の子って困るわ」
三十代男性を“男の子”呼ばわりだ。余談だが、翔太は昔から玲子には頭があがらない。若気の至りでヤンチャをしていた時期も、彼女の言うことだけは素直に聞いていた。
鬼上司の扱われ方に茨木はどう反応すべきか困惑している。一方、旺佑は「さっさと出かけろ」と言わんばかりの険しい表情を浮かべていた。
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