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「…………母さん、その調子であと十六年分話すつもり?」
八歳まで、つまり旺佑の人生の三分の一を振り返るだけで、ゆうに一時間が経過している。多少駆け足であったものの、話題の中心である旺佑はだいぶ辟易しているようだ。
「あら、もうこんな時間なのね。ついつい、話こんじゃったわ。琴音さんも、ごめんなさいね」
「いえ、そんな……! 私の方こそ、楽しくて時間も気にせず、すみません」
大慌てで首を振る茨木に、玲子がふふふと微笑む。
「よかったら、一緒に夕食でもいかがしら?」
「いらない」
間髪を容れず、旺佑が答える。
「お、旺佑くん!?」
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