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ギョッとしたように婚約者を見た茨木だが、旺佑が一分の躊躇いもないので、どうしたものかと弱りきった表情を浮かべる。
ところが、長男に引き続き、次男にまで断られたというのに、玲子はなんら機嫌を損ねたような素振りもなく、「じゃあ、次の機会にね」と微笑む。
「あの、せっかく誘っていただいたのに……」
「急に言われても、オレたちにも予定があるんだから」
ピシャリと言い放つ旺佑の隣では、茨木が曖昧な笑顔を浮かべている。おそらく、これといった予定はないのだろう。
「そうね。今度はぜひ、おばあちゃんもいるときに来てちょうだいね」
ねぇ、冬馬さん、と急に同意を求められるので、「あ、ああ……」と冬馬はどぎまぎと返答に窮するのだった。
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