4878人が本棚に入れています
本棚に追加
/579ページ
「やっぱり、“給料三ヶ月分”ってやつ?」
焼き鳥を頬張りながら、三井拓海が興味津々とばかりに瞳を輝かせる。
ガヤガヤとした居酒屋の四人掛けのテーブル席。その対面に座した同期で友人の保志旺佑が頭を抱えて唸っている。
「オレらの“給料三ヶ月分”なんて、大したことねーじゃん」
そう言って、彼は盛大に息を吐く。間違いなくイケメンに分類される旺佑ではあるが、同時に色々と不憫な男でもある。断っておくが、それは旺佑の魅力のひとつだ、と拓海は思う。
「茨木主任なら、どんなものだって喜んでくれると思うけど」
拓海の隣で、つくねを串から外していた同じく同期の宮田彩乃が、不服そうに口を尖らせる。曰く、「私の憧れの茨木主任が、そんな狭量なはずないでしょ」と。
最初のコメントを投稿しよう!