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「いや、確かに琴音さんなら、なんでも喜んでくれると思うけど……」
ため息を、ぬるくなったビールで流し込む。どうも年上の恋人のことになると、旺佑は途端に歯切れが悪くなる。
「ほな、そんな悩まんでも……」
「きゃーっ! “琴音さん”だなんて! 保志くんのくせに頭が高いわ……!」
串入れに竹串を勢いよく放り込んだ彩乃が黄色い声をあげる。
「ちょ……、彩乃ちゃん、もしかして、もう酔ぉとるん?」
京都での夜を思い出して、男たちは思わず半眼になる。すると、彩乃が頬を膨らませる。
「酔ってません……!」
絶対酔ぉとるわぁ、と拓海はちらりと旺佑の方を見るが、彼はすでに遠い目をしている。
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