金色キツネの、甘美な策略。

26/29
4871人が本棚に入れています
本棚に追加
/579ページ
とは言いながらも、そんな簡単に忘れられるはずはない。 ロビーで男性陣と合流した琴音(ことね)は、保志(ほし)の姿を目にするなり、にっこりと微笑(ほほえ)みかけた。 「半径1メートル以内に近づかないで」 「……はい」 絶対零度の笑顔で告げられた接触禁止令に、保志はイエスという以外の選択肢はなかった。 「不束者(ふつつかもの)の弟ですが、今後ともどうぞよろしくお願いします」と志津香(しづか)に送り出された一行は、京都駅で土産(みやげ)を物色した後、新幹線に乗車した。 「保志、なんでお前が隣なんだ?」 「……オレも不服です」 自由席と言いながら、まったく自由に座れない。 自業自得(じごうじとく)といえばそれまでだが、琴音の隣には宮田が座り、そこになぜか三井も加わって、楽しそうに会話していた。
/579ページ

最初のコメントを投稿しよう!