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「あけましておめでとう、保志くん。あ、これ、お土産」
少しだけど、と言いながら、神戸土産のフィナンシェを手渡せば、保志は無言で手のひらの菓子を凝視する。
「……帰省してたんですね」
「ええ。年末年始はずっと地元に帰ってたわ。えっと、保志くん、甘いの苦手だったっけ?」
目を合わせようともせず、穴が空くほどフィナンシェを見つめる保志。琴音は怪訝そうな表情を浮かべた。
今年最初の営業日。正月気分がまだ抜けておらず、どこか気もそぞろな雰囲気の社内において、どうも保志だけは様子がおかしい。
「……ずっと地元だったんですね」
「え、ええ。年末年始休暇に入ってすぐに帰省して、昨日こっちに帰ってきたところ」
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