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家に着き僕が聞いた話は信じられない内容だった。
「愛希は死んだの」
お母さんから告げられた信じられない告白。
「正確には行方不明だ……ただ、現場付近からの夥しい血痕から生存は絶望的だと聞かされたよ……死体はどこにあるのかわからない」
「なんで……なんでそんなことに!?」
そうだ!手紙だ。
「だって僕は三年間、愛希と手紙をやり取りしてたんですよ!こうして」
バッグから愛希からの手紙を出そうとすると萌衣さんが止めた。
「ごめんなさい……それ私が書いてたの」
「ええ……?」
なんで…?
なにがあればそういうことになるのだろう?
「愛希に頼まれて……」
僕にはこの人達がなにか悪い冗談を言っているような気がしてならなかった。
「愛希の事件がニュースになって……その頃に私のところに愛希からの手紙が来たの。多分、ああなる直前に手紙を投かんしたんだと思う」
「なんて…?」
「そこに自分に変わって大雅君と手紙のやり取りをしてほしいって」
「私達には帰国するまで決して自分のことは話さないようにと」
お母さんが悲しそうに言った。
とても信じられない。
こうして話していてもリビングのドアの陰から愛希がひょっこり顔を覗かせるような気がしてならない。
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