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ある日、僕は地方へコンサートに行った。
そこで懐かしい人に出会った。
僕は別に用事があったわけでなく、なんとなく知らない町を歩いてみたくてホテルの外に出た。
そしてぶらぶら歩いていると後ろから肩を叩かれた。
「よおっ!」
「あ…カイさん…」
僕の目の前には、以前、叔母の家をでたときに部屋を貸してくれたカイさんがいた。
「久しぶりだな。頑張ってるか?」
「はい…あの、カイさんはどうしてここに?引っ越したんですか?」
「ああ。いろいろあってな…」
僕はなんだか無償に懐かしくなってカイさんを喫茶店に誘った。
「たまにテレビで観るよ。オマエのこと…ホントに凄ぇヤツだったんだな」
「そんな、そんなことありませんよ」
「この街には何しに来たんだ?仕事か?」
「ええ…コンサートで」
「愛希のことは残念なことしたな…もう大分経つけど…」
カイさんはブラックを一口飲むとタバコを吸いだした。
「嘘みたいです…まだ信じられません…愛希が死んだなんて…死体だって発見されなかったって聞きました…」
「まあ、あの出血じゃあ助かるわけがない。死んだのは間違いねぇよ…警察だって大量の出血跡を見て死亡したものと扱った。なにより俺は間際まで一緒にいたからな」
「えっ!?」
「俺は愛希を殺しに行ったんだよ。あの日に」
とても悲しい顔をしてカイさんは事情を説明した。
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