彷徨えるヴァンパイア

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すると男の子は、今度は画鋲の箱を触り出した。 「いかんいかん。危ないぞ」伯爵は男の子を止めようと近づいた。 そこに母親が「駄目よ!触っちゃー!」と走り込んできた。 「ぐわっ!」 突き飛ばされた伯爵は、仏壇に頭から突っ込んで灰まみれになった。 勿論、伯爵の姿は見えず、急に仏壇が壊れたもんだから母親は「きゃー!お婆ちゃんごめんなさい!」とパニクっている。 くそっ!灰が目に入って見えない。 伯爵は顔を左右に揺さぶった。 母親には白い顔が宙に浮かんで、左右に振っている様子が、お婆ちゃんは怒っていると思ったのだろう。 母親はそれに袋を被せて、紐で思い切りグルグル巻きに締め付けた。 「お婆ちゃんごめんなさい!成仏してちょーだい!」母親は根拠もなく縛り上げて祈った。 「ぐ、苦しい。し、死ぬ…助けてくれ…」と首を絞められてる伯爵も祈った。 そして何とかコウモリに変化して、窓から逃げ出したのだ。
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