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「川原さんには運命の恋はないわけ」
「あたしの場合は長続きをして結婚でも出来たら、それが『運命の恋』かな」
「へえ、地味だね。恋人と長続きしたことがないのかな」
「最長で半年。あたし、つまらない女なんだよ、たぶん……」
「いや、そんなことないでしょ。仕事はできるし……」
「職場結婚って日常を見て、評価ができているから、する、って良く言うよね」
「おれが彼女の職場にいれば百年の恋はなかった、ってこと……」
「いや、それは、わからないけどさ」
「彼女を好きになる代わりに同じ職場にいる川原さんのことを、もっと良く見ていれば良かったよ」
「浜野くん、離婚してすぐに他の女を口説くんじゃないよ」
「ああ、ごめん。本当だ」
「まあ、反省をしたのなら、あたしは許すけどね」
あの日の、あの会話は、そこで終わる。が、たとえ×一でも、また相手にその気がなかったにせよ、イケメンにあんなことを言われれば、情けないことに、あたしはトキめく。
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