4 想

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「慣れてないから、それは思わなかったな。好きな人に抱かれたの……」 「あたしの知る限りでは、そういう話ではなくて、求められてどうしよう……っていうか」 「川原さんが相談に乗ったわけね」 「不美子に相談されたからね」 「どんなアドバイスをしたのかな」 「普通よ。自分で考えて決めなさい、って……」 「ふうん」 「不美子も興味があったみたいだし……」 「一度はしてみたいと思ったんだね」 「まあ、それもあったと思うな」 「彼女とおれとの相性は悪くなかった、と思うよ」 「ねえ、今、頭の中で思い出してない。生々しく……」 「それがさ、全然生々しくないんだ。不思議だよ」 「まさか、浜野くんの方も実は不美子を愛していなかった、とか……」 「それはないけど、しかし良くわからないな」 「時間が経ったらわかるのかな」 「どうだろうね」 「人は現在の自分の想いで過去を変えてしまう……らしいけど」 「おれには自分が将来、彼女のことをどんなふうに思い出すのか、見当もつかないな」 「そうね、まだ過去じゃないから……」 「うん。そういう意味では生々しい」 「やだ。結局、あたし、浜野くんと不美子のことを聞いているのね」 「川原さんは彼女とも、おれとも近いから、気になっても仕方がないんじゃないの」     
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