4 想

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「いや、単にあたしが下世話な人間だってこと。聖人君子にはなれそうもないや」 「川原さんは聖人君子になりたいわけ……」 「さあ、どうだろう」 「少なくとも会社では真面目だよね」 「大学でも真面目に勉強したわよ。まあ、自分なりにだけど……」 「それを言えば、おれもそう。理系には多いよね」 「そう。同期入社で名古屋へ行った近藤くん、理系じゃ考えられないくらい何も考えていない。……っていうか、その場パフォーマー」 「あはは、上手いことを言う」 「でも、人によるか」 「一般分類的な話って理系の人はしないよね」 「それも人によるけど、あたしの経験では、その傾向がみられると思う」 「会長は一般論が好きだよね」 「それと極端な外挿……」 「すぐに両極端の話をする」 「実際には両極端は存在しないことが多いのに……」 「話がわかりやすくなるからだろう」 「それに比べて社長は数字を出すのが好きだよね」 「煙草を吸う人の減少率とか、ここ数年の医療費の比較だとか、営業トークにも使えるから……」 「この前は、特許の出願数の話をしてた」 「中国の延びが凄い」 「日本は、このまま衰退するのかな」 「人が増えなければ、その傾向は消えないけど、一人一人が頑張るしかないでしょ」 「浜野くんは特許の出願、できそう」     
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