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「何の用事……」
「今、S駅にいるんだけどさ、今野聖が一緒なのよ。高校の時の同級生」
「ああ、明里の彼氏だった人ね。縒りを戻したの」
「いや、単に偶々会っただけ……」
そこで今野聖が会話に割り込む。
「刈部さん、お久しぶりです。これから少しだけ飲みませんか」
「まだ会社を出たところだから今日は止めておく」
不美子が言うので、
「週末じゃないしね。一応、お店が決まったらメールをするから……」
「うん、わかった」
カチャリ。
「……ということで、不美子は不参加で」
「惜しいけど、いずれ機会があるでしょ」
「今野くん、あたしと付き合う気、満々でしょ」
「いや、結果的に明里さんと付き合わないにしても関係性が蘇るならば嬉しいよ」
「今野聖って、そんな性格の人だっけ……」
「詳しい話は飲みながらにしよう」
……ということで、店を選ぶ。街外れには風変わりなショットバーもあるが、駅の近くに何軒もある居酒屋の一つに決める。今野聖をショットバーに連れて行くのは、あたしとの関係性がもっと深まってからにしたかったからだ。また不美子とあたしの隠れ家でもあったわけだし……。
「明里さん、相変わらず、脚がキレイだよね」
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