2 泣

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 あたしは自分の性格が悪いのか、それとも、そうでないのかがわからない。まあ、余程のことが限り、自分の性格の悪さを自覚する人間はいないだろう。だから、わたしもわからないのだ。けれども(……という接続詞が正しいかどうかはともかく)、あたしには男運がない。  刈部不美子みたいな本物の美人ではないが、化粧をすればそれなりだ……と自分では思っている。顔はともかく、スタイルは悪くない。筋肉質ではあるが、脚は綺麗だ。が、脚だけでは男にモテるはずもない。  わたしは――許容値はあるにせよ――男の顔を気にしない方だ。が、男の多くはそうではないに違いない。因みに不美子の元夫、浜野佳一はイケメンだ。その点では不美子とお似合いだったが、世の中、上手く行かないものだ。  あたしはモテない……というより、すぐに振られる。つまり男と付き合ったことがないわけではない。数だけで言えば、男――と人間一般――に無関心な不美子より多いだろう。不美子とあたしは高校以来の付き合いだが、高校生のときの不美子には恋人がいない。その代わり取り巻きは大勢いたが、その中から抜け出せた強者は残念ながらゼロ人だ。     
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