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何故、それが続いているのか。おそらく偶々だろう。いろいろと貴重な同時体験があったにせよ、長く続く友人関係など、そんなものではないだろうか。勿論、前提としての信頼関係は必要だが……。
不美子はあっさり……というか、あたしに言わせれば『ぺろん』とした性格をしている。引っ繰り返しても裏がない。だから『ぺろん』だ。時に言葉が辛辣になることがあるが、不美子本人に悪気があることは滅多にない。そういった激しい感情を持つことが面倒臭いのだ(というか、実は……)。
不美子の両親によれば、子供の頃からその傾向があったらしい。が、極端ではなかった、と言う。だから幼稚園の同じクラスの園児たちとも仲良く遊んでいる。一人だけ勝手に遊ぶ、あるいは寝る、といった――日本人一般的に――困った人間ではなかったのだ。
それでは何故、不美子は現在の性格に至ったのか。あたしには、それが謎だったが、ある日、本人に訊き、謎が解ける。いや、本当に謎が解けたのかどうか、あたしにも今一つ良くわからないのだが……。
『あのさ、不美子のぺろんとした性格は子供のときからなの……』
あのときはまだ、あたしは不美子の両親から遠い過去の話を聞いていない。
『わたしは、ぺろん、か。まあ、いいけど……。そうね』
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