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呆然とし続ける昭彦に向かって、いたずらっぽく微笑んでみせる。
「どうか、お覚悟を」
「……!?」
昭彦は声も出せず、ただ聖蘭を見つめることしかできない。
彼の聴覚はエンジン音の高まりを感じ取るのだが、そちらに意識を向ける余裕すらなくしてしまっていた。
車はやがて高速道路に乗る。
にわかに速度を上げ、彼を住み慣れた街から引き離していく。
その先にあるのは、心に寒さを感じる暇がないほど賑やかで騒がしい毎日だったのだが…
(お、俺…どうなっちゃうんだ……?)
今の彼に、それを知る由はなかった。
>Fin.
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