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私、木元菜月が通っている高校は女子高だった。
さっきみたいな問題は珍しいモノではない。
若い男性教諭に恋する者もいるし、同性を好きになる者もいる。
けど、大抵の人は憧れからくる感情だ。
(ま、たまに私みたいにガチガチのヤツもいるけどね。)
誰も居ない美術室の窓から、運動場をみる。
1人の女子と目が合う。
その女子は周りを気にしながら、こちらに手を振ってくる。
(かわいい。)
彼女が私の想い人、川嶋遥。
1年の時、同じクラスで私の前の席だった。
その時、ある出来事があって以来、仲良くなったのだ。
遥は体育教諭と何か話してから集団から離れて校舎内に入っていく。
「トイレかぁ?」
なんて独り言を言っていると、ドアがいきなり開いた。
「サボってません!」
反射的に答えてしまう。
「嘘をつくんじゃない!木元!!」
入口には遥がニヤニヤして立っていた。
「遥か、、、授業は?」
「抜けたぁ。生理でお腹痛いっていった。」
「今月何回くるの?」
「大丈夫。男だもん、生理って言えば何もいえないって。」
2人で笑った。
「で?菜月何してんの?」
「堂々とサボり。」
「またかぁ。今月何回目?」
「大丈夫、きにするヤツいないから。」
「・・・そうかな?」
「え?なに?」
「何にもなーい。で、原因は?」
運動場からは見えないように、真ん中の席に座る。
菜月は教室で起きた事を話した。
「その、菜月がお裾分けのキスをしちゃった子は誰だったの?」
「うーんと、、、わかんない」
「菜月、あんたクラスメイトの名前ぐらい覚えなさいよ。」
「仕方がないじゃん、興味ないもん。あ、でも髪の毛綺麗だったよ。近くで見ると泣きぼくろがあって、あ、メガネ掛けてた。確か、ライムグリーンのフレーム。」
遥が少し驚いていた。
「あ~、その子、西谷さんだよ。そっかぁ、西谷さんにしちゃったかぁ。」
遥がなにか考え込んでしまった。
そして、一時限の終了のチャイムが鳴る。
「とにかく、菜月はこれ以上クラスから浮かないこと!わかった?」
遥は美術室を飛び出して行った。
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